年末の大掃除はやらない!
どもイチイチです。
いきなり妄想全開でスタートしますので、お付き合いください。
俺の名はイチイチ。クールな俺は年末の大掃除はやらない。。。
いや、正確にいうと、年末に大掃除はやらない。寒い時期、やっとの年末年始の長い休みに掃除に時間を費やすなんてまっぴらだ。
そこで俺はいつも、まだ暑い時期に大掃除をする。短パンTシャツで掃除をすれば、ビショビショに濡れようが、全く問題ない。
さて、シルバーウィークの最終日、ニイニイは遊びに行き、嫁ちゃんとヒヨコちゃんはお買い物に出かけた。家には俺一人。。。。
ふっ。今年もこの時が来てしまったか。キッチンに目をやると、そこには、、、毎日俺たちのために働いてくれる美女がいる。
換 気扇 まるで台湾美女のような名前だが、レンジ・フードという欧風の名前も併せ持つ彼女。
俺は彼女にやさしく語りかける。
やあ、いつもありがとう。助かってるよ。
そんな、ご主人様、ありごとうございます。
ご主人様なんて堅苦しいのはやめてくれよ。今日は二人だけだ。
イチイチと、、呼んでくれないか?
そんな、、、
換気扇はほほを赤らめる。
イチイチさん、もしかして、、、
ああ、そうだよ。今日は、、、
俺は彼女の両サイドのボタンに手をかける。カシャっと心地のいい音がして、パネルが下に降りてくる。
いや、恥ずかしい。。。
俺は彼女のいうことなんか聞かない。
そのままパネルの配線カプラーを、片手で器用に外す。
イチイチさん恥ずかしい。。アタシ、とっても汚れているの。。。
こんな姿誰にも。。。
あああ!
俺は彼女の一番大事なところ。そうファンの中心部に手を伸ばし、強引にねじを回す。
手がべたべたする。そして、たくさんのヒダヒダがついた彼女の縦型のファンを取り外す。
生れたままの姿になる彼女。。。
すまない。手荒な真似はしたくなかったんだが、君との関係を維持するには、こうするしかなかったんだ。
それにしても、、、なんてひどい汚れようだ、、、
大丈夫、安心して。俺がちゃんときれいにしてあげるから。
ありがとう。イチイチさん
そうはさせるか!イチイ!
だみ声が響く!
出たな!ダストアブラ―!
説明しよう。ダストアブラーとは、換気扇から吸い込まれたホコリ(ダスト)と油が吸着し、とてもしつこい油汚れに変化した、悪の化身なのだ!
イチイチよ!おまえのしょぼくれた技など俺には効かん!
くらえ!ネズミ糞攻撃!!
説明しよう。ネズミ糞攻撃とは、換気扇のアブラをたっぷり含んだホコリをこそぎ落そうとすると、固形化し、まるでネズミの糞のような形になり、キッチンにポロポロと落ちてくるやっかいな攻撃である!
くっそ!
換気扇の下のIHヒーター三口が文句を言いだす!
イチイチさん!俺たちまで汚れちまうじゃないか!やめてくれ!
しかたがない、お湯ひたし雑巾攻撃だ!!
効かないね、イチイチ君。
伸び伸びアブラ攻撃で反撃しちゃうよ。
説明しよう。伸び伸びアブラ攻撃とは、お湯で温められた雑巾により、一時的に汚れが取れたように思わせながら、実はビローンと油汚れが拡散し、冷えることによりさらに汚れが取れにくくなるやっかいな技なのだ!
くそお!
どうしたらいいんだ!
もうやめてイチイチさん、私はこのままでも十分、、、、
ふぉっふぉっふぉっ!
イチイチよ、彼女もそう言ってるぜ?パネルの外側だけきれいにしてあとはフタをしちまいなよ。
まあ、こんな美女をお前がほったらかしたのがいけねえんだ。彼女もさみしかったんだろうなあ、みんなから嫌われ者の俺をこうしてかくまってくれたんだからなあ。
なあ、換気扇ちゃんよ。お前だってまんざらでもなかったはずだぜ!
あんなことや、こんなことや、、、
やめて!イチイチさんの前でそんな汚らしいこと言わないで!
イチイチさんごめんなさい!あたし、あなたが思うようなレンジフードじゃないの!
掃除もしにくいし、すぐに汚れを引き寄せちゃう。ホコリにもアブラにもすぐに身を任せてしまう、ふしだらな女なのよ!
そんなことを言っちゃいけないよ、君は素敵なレンジフードだ、君のおかげで、たくさんの料理ができるんだよ。臭いだって消し去ってくれる。君が汚れてしまうのは、君のせいじゃないんだ!
悪いのは俺たちなんだよ!
そうだ!イチイチお前たちが悪いんだよ!
だいたい人間は、旨い旨いと言って、揚げ物や炒め物を大量に食べるじゃないか。
ところがどうだ!おまえらは食った後はたっぷり脇腹に脂肪をたくわえ、食べた自分よりアブラが悪いみたいな言い方をする!おまえけに人間の口に入ることができなかった俺たちは換気扇のなかにこびりついてゴミクソ扱いだ。
そしてどうだい、美人の換気扇を悲しませて、、、、
お前ら人間は最低だ!!!
そうか。そうだよな。悪いのは俺たちだ。
すまなかった。しかし、聞いてくれ。ダストアブラー。お前たちの仲間は、ちゃんと俺のために役立ってくれたよ。これがその証拠だ!
俺はTシャツを脱いで裸になった。
(ここから若干自慢話が始まるが、ご容赦願いたい。)
おお!こ、これは!
ダストアブラー。よく見てくれ。この俺の上腕二頭筋を、そして贅肉のない脇腹を、胸板だって少し厚いし、腹だってシックスパックになりかかっているだろ?
俺は脂身が好きだ。唐揚げだって大好きだ。俺が摂取したアブラはどうなったと思う?
みんな俺の筋トレや有酸素運動、フットサルのためにちゃんとエネルギーになってくれたんだ。
お前たちがいなかったら、エネルギー切れを起こして理想の体型にはなれなかっただろう。。。。
おかげで今年も、健康診断で褒められたよ。コレステロール値も標準で、48歳にしては上出来だって。血糖値だけ気を付けてって言われたんだ。甘いものも好きだから。
いいかい、ダストアブラー。俺は、アブラに感謝しているんだよ!
あんなに旨みがあってエネルギーになってくれるものを、俺は、悪者になんかしたくないんだよ。
イチイチよ。すまなかった。
お前みたいな人間がいるんだな。アブラを大事にしてくれる人間が、、、、
お前になら、俺はやられてもいいぜ。
いや、頼む。俺のこともキレイにしてくれ。
中性洗剤でも、重曹でも、乾き雑巾ごしごしでもなんでもいい。マイクロファイバースポンジだっていいさ。お前の手で俺を浄化してくれ。
俺は涙をこらえながら、ダストアブラーを洗い流した。それでも簡単ではない。中性洗剤を駆使し、ポタポタとレンジフードから落ちてくる汚れた水滴をふき取り、ファンのヒダヒダには割りばしを突っ込んでアブラをこそぎ落した
そして風呂場でパネルをお湯で洗い流した。最後の吸気部分に取り掛かった時、ダストアブラーが息も絶え絶えに俺にこう言った。
イチイチよ。
今度生まれ変わったら、俺はトンカツの衣にたっぷり吸われたアブラになるよ。
そして、はあ、はあ、できたら、お前の好きな、、、、ロースかつに、、、、、、
ダストアブラーっ(涙)!
終わった。今年の大掃除第一弾が終わったのだ。
今度、天気の良いお休みの日には、窓周りの掃除をしなきゃなあ。
俺はベランダでパネルを乾かしたあと、換気扇に取り付けた。
イチイチさん、ありがとう。
換気扇が言う。
いや、いいんだよ。それより、そろそろ嫁ちゃんが帰ってくるから、、、
イチイチさん、お願いがあるの。パネルを閉める前に聞いてもらえる?
なんだい?
私、イチイチさんに奥さんがいてもいいの!年に一度なんて言わず、月に一度、二か月に一度でもいいから、二人だけの時間を作ってほしいの!
そしたら、きっといつも奇麗でいられると。。。。
。。。。それは無理!!バタン!(パネルを閉める音)
以上、イチイチの妄想劇場でした。
最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。
次回に続くよ。
うんわぐっく!