愛人はオートバイ

オートバイを愛人に見立てて妄想しまくる変態ブログ!もと『48歳リターンライダーがハーレーのオーナーを目指す!』からタイトル変更しました。

人生って面白いなあ(長文😅たまにはマジメなこと)

最近のウチの長男、ニイニイ君(仮名 中1)の様子を少し書きたい。

 

日曜日、午後になって雨も上がり、バイクで多摩川沿いを走り、こっそりニイニイ君の練習を見に行った。

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最近は、コロナの影響で、ホームグラウンドが使えず、河川敷で練習をしている。

 

 

 

 ニイニイ君は小学校を卒業してから、中学の部活には入らず、クラブチームでサッカーをやっている。

 

 小学生のころのスポーツ少年団のコーチは、ボランティアコーチだったため、正直に言うと、指導力に欠けていた。とにかく怒鳴る、ああしろ、こうしろ、こうするな、ああするな!の繰り返しと精神論、、、ニイニイ君は委縮してしまい、小学校の5~6年の頃には、すっかり自信をなくしてしまっていた。

 一度、コーチに、『怒鳴りすぎじゃないですか?』と言ったことがある。するとコーチは、『私たちは勝たせなきゃいけないんですよ。それに、この程度に耐えられなかったら、他じゃ通用しませんよ。』という返事だった。

そのせいもあってか、6年生でクラブチームを受けることを申し出したら、「ニイニイ君はクラブチームに行っても通用しないでしょう。ワタシは紹介できるチームはありません。」と突き放された。去年の今頃のことだ。

あなたの指導力の無さだろう。ニイニイ君だけじゃなく、チーム全体が、コーチの怒鳴り声で委縮しているのがわからないのか?と言ってやりたかったが、そこはぐっとこらえた。

「自分たちで、チームを探して受けるのは構いませんよね?」と言って、ニイニイ君のために、俺はクラブチーム探しに奔走した。

 自分が、躍起になってクラブチームを探したのには、理由がある。

さいころからサッカーを楽しんできたはずのニイニイ君が、小学校の高学年では、ただ怒鳴られるためだけのサッカーに疲れてしてしまい、サッカーを嫌いになりかかっていたからだ。そして、ニイニイ君の進学する中学のサッカー部には、正式な指導者がいない。以前、このブログでも触れたが、近所の高校生のO君と大学生のボランティアコーチが指導に当たっているだけだ。それが悪いわけではないが、自分は、きちんとした指導者のもとで、もう一度、ニイニイ君に、サッカーの面白さを、楽しさを味わってもらいたかったのだ。

もし、仮に、ニイニイ君がサッカーを辞める時がきて、それが、怒鳴られるから嫌になったという理由では、あまりにも不憫ではないか。

 

とはいえ、自分は中学生のクラブチーム事情に明るくはない。どうしようと困っているときだった。

ニイニイ君の試合の引率で訪れたサッカー場で、一人の男が声をかけてきた。

「イチイチさん、久しぶりです!」

声をかけてきたのは、ここの地域では強豪チームのコーチだった。

実は、彼とは十年近い付き合いがある。というのも、ニイニイ君が三歳の時に通っていたサッカースクールで息子さんが一緒だったからだ。自分よりも10歳以上年下だけど、人懐っこい性格で、自分とも気が合う。子供たちが小学校に上がる前は、何度か飲みにいったこともある。

 本人も、サッカーをやっていたこともあり、サッカーの指導者になりたいと昔から言っていた。そして、息子さんが小学校に上がり、スポーツ少年団のチームに加入するのと同時に指導者の資格を取り、強豪チームの監督になっていたのだ。

 彼がコーチになってからは、試合会場で何度か顔も合わせていた。もちろん、対戦もしたこともある。ニイニイ君のチームは足元にも及ばなかったが、同じ地域で活動する以上、敵対するチームであったと言ってもいいだろう。

 俺は彼のことを「あっちゃん」と呼んでいた。

「ニイニイ君、どこのクラブチーム受けるんですか?」

「う~ん、コーチから見放されちゃってね、どこ受けさせるか悩んでるんだよ」

「そうですか、、、」

「あっちゃんの息子さんはどこ受けるの?」

「うん、何チームか絞ってるけど、子どもを振るいにかけるようなチームは避けようと思ってますよ。隣の市の××とか、○○市の△△とかは強いけど軍隊みたいですからね。」

 

その日はそんな会話で終わったが、数日すると、彼からラインが来た。

 

「うちのチームの子達が受けるクラブチームのリストです。参考にしてください。基本的には、育成の上手なチームをピックアップしてますよ。」

 

「俺、部外者なのに、こんな見せてもらっていいの?」

 

「イチイチさんだけ特別ですよ!敵チームじゃなくて、友達としてね!」

 

ありがたい返事だった。

 

俺とニイニイ君は、彼から教えてもらったチームの練習会に参加した。

クラブチームはだいたい現6年生の練習会を数回開いて、10月ごろにセレクションをする。

 いくつかのチームの練習に参加してみたが、

各チームのセレクションの申し込み受付が始まっても、ニイニイ君がはっきりと行きたい!と言えるチームは見つからなかった。もちろん、行きたくても、セレクションに受からなければクラブチームに入れるはずもない。

 リストの中のチームの練習会は、ほとんど参加したが、1チームだけ、9月下旬に練習会を開催しているチームがあった。

 まだ、夏の暑さが残るなか、ニイニイ君を練習会に参加させた。

 それまで参加した練習会は、6年生だけが対象だったが、そのチームは現中学一年生のチーム練習に参加するものだった。

 正直、クラブチームの中学生と練習なんて、ますますニイニイ君は自信をなくしてしまうんじゃないかと心配だった。

 練習は約二時間。

 基礎的なボールタッチ、パス、フェイントなどの練習のあとに、グループ分けして試合形式のゲームだった。

 ニイニイ君はいつもの左のサイドハーフに入って、ゲームに参加した。

 クラブチームの練習とはどういうものだろう?自分もグラウンドの隅に座って、様子を見ていた。

 不思議なことに、コーチはああしろ!こうしろ!とは言わない。もちろん怒鳴ることもない。いいプレイがあると、「今のでいい!それ繰り返して!」と言ってみたり、逆に悪いプレイがあると、「なぜ今のうまく行かなかったわかる?」などと声をかけていた。

コーチの声とは反比例して、選手たちはゲーム中によく声をかけあっている。いいプレイがあると、お互いが褒め合う。悪いプレイには、咎めることなく、「もう一回!」などと声をかけあっていた。ニイニイ君は緊張してせいか、最初の動きは硬かったが、徐々に慣れていき、参加した小学生では唯一得点をあげることができた。

 

 練習のあと、父兄だけが集められた。

 30代半ば担当コーチから話があった。

 

 「うちのチームは、、、クソ弱いです(笑)。もちろん、クラブチームですから、勝ちに拘らないわけではないですが、正直に言うと、勝つためのサッカーは、やろうと思えばいくらでもできます。多分、その方が簡単です。でも、僕たちが目指すサッカーは違います。選手が自主的に考えて、成長していくサッカーです。日本の小学校のサッカーは勝つこと重視で子供たちの思考を止めてしまっています。ここで、もう一回、サッカーは面白い!ということを学びなおしてもらいたいと思っています。」

 

 確かに、練習を見ている限りでは、選手たちが自分たちの意思でゲームをコントロールしているように見えた。そして、なにより楽しそうだった。

 

 練習会が終わって、まだ汗が引かないニイニイ君が車に乗り込んできた。

 開口一番

 「俺、ここのチームでサッカーやりたい。ここのチームに入りたい。」

 「そうか。ここにするか?」

 「うん、久しぶりに面白かった。」

 「そうか。」

 

 自分も、このチームにならニイニイ君を行かせてあげたいと思った。

 

そして今年の4月からこのチームに加入することができ、ニイニイ君がこのクラブチームに入ってから、約二か月がたった。

小学生の頃は、練習から帰ってくると、コーチに怒鳴られて、不機嫌だったこともあったし、時々、自分はチーム内で一番下手で、みんなの足を引っ張ってる、、、と自己否定までしていたが、今は全く違う。

 練習が終わって帰ってくるのは、夜の10時近くになるが、

 「今日も楽しかった~!!!」と言って帰ってくる。

 チームメイトは、ニイニイ君よりもはるかに上手な選手の方が多く、ニイニイ君は実力的には先発メンバーではない。しかし、自分を卑下することなく、みんなに追いつくんだ。レギュラーになるんだ!と週五回の練習に通っている。

 日曜日に試合があると、つい二か月前まで電車の乗り方さえ知らなったのに、友達と待ち合わせて、何度も乗り換えの必要な、遠い試合会場まで行ってしまう。

 短期間で一気に成長していることが実感できる。

 本当にいい指導者に巡り合うと、短期間でこんなに成長するものかと驚くばかりだ。

 

 こうして良い環境に巡り合うことができ、ニイニイ君がサッカーを楽しむことができるのは、このチームを教えてくれた、あっちゃんのおかげだ。

 もしかしたら、ニイニイ君のサッカー人生を大きく左右した人物かもしれない。

 直接の関わりがない人が、誰かの人生を左右する。

 もしかしたら、自分の50年の人生もそういうもので成り立っているのかもしれない。

 ニイニイ君の成長を見ていると、つくづく人生って面白いものだなと思う今日この頃だ。